白い衣装に身を包み、凛と舞台に立つ姿は、まるで一羽の鶴が静かに舞い降りたかのようであった。 去る6月5日午後5時、1908年創設の世界三大劇場の一つブエノスアイレスのコロン劇場で、アルゼンチンへの 「僕は無智だから反省なぞしない」と語った小林秀雄の戦後の始まりとは。
敗戦・占領の混乱の中で、小林は何を思考し、いかに動き始めたのか。 編集者としての活動や幅広い交友にも光を当て、批評の神様の戦後の出発点 没後30年を迎えた司馬遼太郎。 本誌連載作の『空海の風景』を、平成生まれの書評家・渡辺祐真氏が論じる。
(『中央公論』2026年6月号より抜粋)